古民家の耐震補強の流れ
1、各市町村の窓口で木造住宅耐震診断を申し込む
(木造住宅耐震改修助成金制度を活用するためです。)
各市町村では、以下の要件を全て満たす住宅を対象に、木造住宅耐震診断を無料で受けることができます。
(申し込み期間4月1日~翌年1月末日)
◆昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅であること(※プレハブ、ツーバイフォー工法等は除く)
◆2階建て以下の建物であること
◆各市町村内にある住宅であること(※住宅として利用予定のない空き家は対象外)
◆申込者:対象住宅の所有者であること
2、耐震診断日程の調整
各市町村が指定した耐震診断員からお客様へ直接電話連絡が入ります。都合のよい日時をお伺いし、現地調査日を決定します。
3、耐震診断現地調査・立会い
現地調査は2時間程度。建物の内外を目視調査いたします。
天井裏や床下点検口の位置を確認し、目視で内部の状況を確認するので、出入りできるようにできるだけスペースを確保してください。
また、建物の図面等(間取り図)があればご準備ください。建物図面があれば、筋かいや壁の仕様等が詳細に確認できるので、より正確な診断ができます。
4、耐震診断結果報告
1ヶ月程度で診断結果が出ます。各市町村の審査後、担当した耐震診断員が報告書をお届けします。
結果をもとに建物の耐震性についてご説明いたします。また、建物の補強方法や、家具の転倒防止・ガラスの飛散防止の重要性について等も簡単にご説明させていただきます。
5、耐震性能目標の設定
耐震診断の結果、耐震性能が所定のレベルに達していないと判断された場合には、基本的に補強検討を行うこととなります。耐震改修を行うに当たり、まずはその建物に応じた目標性能を設定する必要があります。
層間変形角1/10 rad以上で木造家屋が倒壊するとされていますが、それを目安に、建物の状況や層間変位・損傷・倒壊等を考慮したうえで、お施主様と話し合い、最終的な目標となる層間変位を決定します。
【層間変位数値の目安】
1/120 rad 建物の軸組にほとんど損傷がなくほぼ補修も必要も要しない。(損傷限界変位)
1/ 60 rad 建物の再使用可能で少しの補修をすれば再度使用できる。
1/ 30 rad 建物の補修や再使用可能の限界で土壁は大きなひび割れが発生する。
軸組にも影響が大きく、木材のめり込みで損傷が生じるが、補修によって再度使用することができる。(在来軸組工法の安全限界変位)
1/ 15 rad 大きく変形が残り、これを超える応答変形では倒壊に対する安全性の保証ができない(伝統構法(古民家等)安全限界変位)
在来軸組工法のような筋かいや面材、あるいは接合金物を多用した場合は、伝統的な軸組構法(古民家等)に比べて剛性が高く変形能力が低くなります。そのため、筋かいや面材などは層間変形角
約1/30radを超えると耐力を失ってしまいます。よって、筋かいや面材などを多く使用した木造軸組は、安全限界変形角1/30radを超えないように設定するほうがベターです。
また、伝統的な軸組構法(古民家等)については、土壁や差鴨居など層間変形角 約1/15radまで耐力を有する部材で構成されているため、1/15rad程度までは十分変形能力を保持できる場合が多く、安全限界変形角を1/15radに設定することが可能です。しかし、1/15radのような大きな変形を想定するにあたっては、十分に注意し設定する必要があります。
6、耐震補強のための現地調査
伝統的な軸組構法(古民家等)で耐震補強する場合、限界耐力計算に基づいた耐震性能の診断を再度行う必要があります。そのために、耐震補強に関わる伝統的な軸組構法(古民家等)に詳しい構造設計者や意匠設計者、大工が、より専門的で詳細な現地調査を行います。
お施主様からのヒアリングに加え、目視で確認できる範囲でのより詳細な寸法や、構成される部材の構造特性、構造上重要な住宅の老朽化等を調査していきます。
現地調査はとても手間がかかりますが、最も重要なプロセスです。十分な現地調査を行うことで耐震工事を行うときもスムーズに工程が進みますし、逆に現地調査がしっかりとできていないと構造計算精度は低下します。お客様のプライバシーに関わることも多いので、現地調査とヒアリングは十分慎重に行います。
7、限界耐力計算による現状の耐震性能評価
伝統的な軸組構法住宅(古民家等)の建物形状や建物重量、耐震要素等の構造特性と地盤特性を十分把握したうえで、現地調査にもとづいて構造計算を行います。また、建物全体の復元力特性は、耐震要素である土壁やほぞ、差鴨居等を復元力特性として加算することで算出し、これらを総合して耐震性能を判定します。
【木造住宅 耐震性能の判定基準】
稀に発生する地震(中地震動の震度5程度)における損傷限界変位については、最大応答変形角を1/120 rad以下とし、極めて稀に発生する地震(大地震動の震度6強から7)に対する倒壊安全性については、最大応答変形角を以下の3つに分類する。
1、倒壊はしない 最大応答変形角が1/30 rad以下
2、建物を構成する耐震要素で倒壊のおそれがある 最大応答変形角が1/30 radを超える
3、建物が倒壊するおそれがある 最大応答変形角が1/15 radを超える
8、補強の要否の判断
補強の要否の判断は以下の二点が目安になります。
◆震度5程度の中地震に対する最大応答変形角の制限値が、損傷限界変位である1/120 rad(軸組にほとんど損傷がない程度)を超えていないか。
◆震度6強から7程度の大地震に対する最大応答変形角の制限値が、安全限界変位である1/15 rad~1/30 rad(大きな残留変形あり)を超えていないか。
これらを超えている場合は耐震補強を要すると判断します。
9、建築主・使用者との打ち合わせ
耐震性能(判定基準)の目標設定は建築主・使用者の意向を重視して打ち合わせることが大前提です。
限界耐力計算による現状の耐震性能評価の結果は、木材の劣化がない状態での評価となっているので、現存する建物の耐震改修の場合は、現況の劣化状況をお施主様に十分ご説明し、必要に応じて耐震性能の低減も考慮しつつ打合せを進める必要があります。
木材の経年劣化においては、通常劣化はゆるやかで、特に耐用年限を長く想定する場合を除いては、さほど考慮しなくてよいと考えられています。ですがそれは、腐朽や蟻害が発生しないような設計・施工はもちろん、メンテナンスについても十分配慮してあることが条件となりますので、今後の使用年数やお施主様の生活状況、ご予算などを十分に話し合い、お施主様に合った改修目標を決定していきます。
10、耐震要素の選定と配置
伝統的な軸組構法(古民家等)の耐震診断の結果、耐震補強が必要となった場合は耐震改修設計を行います。
しかし、耐震要素の増設によって耐震性能がどれほど向上するかについて定量的に検証し、限られた予算と日数で的確な判定を下すことは容易ではありません。それよりも、耐震診断の結果をふまえ、住宅の使用(居住)実態と構造計算が乖離することのないバランスのとれた診断・設計手法を提案することが大切です。
耐震要素により限界変形量が異なるため、まずはその特性を十分考慮してそれぞれの限界変位に対しての変形角を設定しますが、古民家等の伝統的な軸組構法建築では、大きな変形量を有する場合が多く、変形量が小さい筋かいや面材、接合金物などを多用すると変形量が乏しくなるので向きません。大きな変形量を有する土壁や荒壁パネル、仕口ダンパー等で偏心が少なくバランスのよい補強をすることが望ましいのです。
11、限界耐力計算による補強後の耐震性能評価
耐震性能の評価においては、限界耐力計算で地震時の損傷限界変位および安全限界変位を設定し、応答変位がそれぞれの限界値を超えないことを確認したうえで、地震時の最大応答変位と損傷の関係をどう設定するかが最重要課題となります。地震時の変形量と損傷の関係については下記のように判断します。
◆損傷限界 構造に損傷がなく仕上げ補修もほぼ必要ない。
◆再使用可能限界 再使用可能であるが、多少の補修は必要となる。(小破)
◆補修・再使用可能限界 筋かいやパネルには大きな損傷がありそのまま再使用することができない状態で、土壁にも大きなひび割れが発生する。(中破)
◆安全限界 この変形を超えると倒壊に対する安全性が保障できなくなり、大きな残留変形が残る可能性がある。(大破)
それぞれの限界値については、耐震要素により限界変形量が異なるため、その特性を十分考慮してそれぞれの限界変位に対して層間変形角を設定する必要があります。一般に、伝統的な軸組構法建物では十分な変形能力を有する場合が多いが、面材や接合金物などを多用した構法の場合は、伝統的な構法に比べて変形能力に乏しいため、この点を十分考慮のうえ損傷限界や安全限界を設定します。
伝統的な軸組構法(古民家等)において、この構法に用いられる耐震要素は、層間変形角が1/15rad程度までは十分変形能力を保持していると判断できる場合がほとんどです。しかし、このような大きな変形を実際の建物で想定するにあたっては十分な検討が必要となります。計算と実際の現象が異なれば、想定している限界変位を超えて倒壊に至る可能性を否定できないからです。限界耐力計算はあくまで計算であり、設計はその計算結果を踏まえたうえでの高度な判断力が必要となるのです。そのため、十分な変形性能が検証されない場合、安全限界変位は余裕を持った大きさに設定するか、計算において減衰を小さめに設定する等の対応が必要です。
12、性能目標達成
耐震設計・耐震補強設計に際しては、建物の構造特性を勘案して目安となる損傷限界変位や安全限界変位を設定し、その限界変位以内に応答値が納まることを目標とします。(※限界変位は層間変形角(層間変位/階高)で表す。)
まず、最大応答変形量を耐震設計の判定基準として設定します。応答変形量は入力地震動の大きさと密接に関係しており、数十年に一度くらいの確率で稀に発生する中地震(震度5程度)に対する最大応答変形の制限値=損傷限界変位としています。また、建物の供用年限中に発生する可能性のある最大級の大地震(震度6強から7)に対しては、人命に損傷を与えない変形の限界値=安全限界変位となります。貫や土壁などの伝統的な耐震要素を用いた軸組構法建物の場合には、以下の層間変形角を目安に判断基準を設定することができます。
1/120rad 軸組にほとんど損傷がなく補修も必要ない。(損傷限界として設定可)
1/ 60rad [再使用可能限界]若干の補修をすれば再使用できる。
1/ 30rad [補修・再使用可能限界]土壁は大きなひび割れが生じ、軸組にも木材のめり込みによる損傷が生じるが、補修によって再使用が可能。
1/ 15rad 大きな残留変形あり。これを越える応答変形では倒壊に対する安全性の保証ができない。(安全限界として設定可)
建物の耐震性能の目標値を設定するに際しては、建物を構成する耐震要素の特性を考慮する必要があります。
一般の木造住宅においては、1/30radを安全限界としています。これは、ほとんどの耐震要素が1/30rad程度で破壊するか、変形能力が1/15rad以上まで保持できるものかに分類できるためです。しかしそのために耐震補強を行った結果、住居としての機能を損なうほどの耐震要素を配置するということも起こり得ます。
こういった事態を避けるため、一部の軸組に変形能力のない耐震要素(筋かいや面材など)が含まれていても、柱の軸力保持を保証する配慮がなされれば安全限界変形を1/15radまでとすることが可能です。ただしその場合、1/15rad以下の変形で破壊する軸組は耐力の算定から除外されます。
また、伝統的な軸組構法では貫や土壁が主たる耐震要素なので、安全限界を1/15radに設定することができます。このとき、柱や壁の軸力保持能力に十分な配慮をするとともに、近接する隣家との衝突や、家具の転倒、仕上げ材の破壊などが生じる可能性にも留意する必要があります。
耐震性能における判定基準については、(財)日本建築防災協会による診断法を利用した「上部構造評点」の結果で判断します。一般の木造住宅では1/30radのとき評点=1.5以上、1/15radのとき評点=1.0以上であれば倒壊しないと考えても良いと思われます。
13、補強図面および仕様書の作成
伝統的な軸組構法(古民家等)の耐震改修を行う場合、「既存の部材が設計図通り納まっていない。」「柱と桁の芯にズレやねじれ等がある。」「壁の付き方によって補強部材が所定の位置に取付けできない。」…など、補強工事に入ってから工法の変更をしないといけないような要因が多々発生します。
計画した部分に補強部材の配置をすることで部屋の使い勝手が悪くなったり、補強部材の取付箇所である既存の柱や大引き等の腐朽で取付けが難しい場合もあります。
補強設計に当たっては補強による耐震性能の向上に関する検討はもちろん、補強後の建物の機能あるいは補強工事の施工性を考慮するなど総合的な検討が求められるのです。
補強設計に関わる現地調査にあたっては、木造建物固有の調査項目もあり内容は多岐にわたりますが、個人住宅の場合は設計図がないことも多いので、構造計算を行うための詳細調査とその結果に基づく図面作成が必須事項となります。
14、第三者機関チェック (社)日本建築構造技術者協会 関西支部
耐震設計あるいは耐震診断を完了したときにチェックリストを記入し、事前に作成した構造設計図書あるいは現地調査結果とともにお客様への説明を行います。このときに使用するチェックリストは、(社)日本建築構造技術者協会関西支部(木造住宅レビュー委員会)で行われている伝統的な軸組構法(古民家等)のレビュー制度を活用したものであり、第三者のチェック機関に厳しくチェックをしてもらうことでお客様への信頼性を保つよう努めます。
また、ピアレビューと言われる専門家同士の話し合いによって計算内容を熟慮することで、より信頼のおける耐震設計業務・耐震改修事業を行うことができるのです。レビュー内容は、構造図面および現地調査結果と限界耐力計算による構造計算、耐震設計総括表を作成して提出し、それを元に行います。
レビュー制度の活用により、個々の住宅事情に応じた耐震設計や耐震診断を行うことができますし、お客様も設計者から納得のいく説明を受けることができるようになります。また限界耐力計算という多くの設計判断を必要とする設計手法を用いるためには、このような専門家同士の話し合いが不可欠で、専門家はピアレビューをすることによって耐震安全性に対する独断を排し、広い合意のもとに改修を進めることができるのです。
限界耐力計算という検証法が建築基準法施行令に導入されたことで、合法的には伝統的な木造軸組構法が設計可能になりましたが、現実には、設計者ばかりでなく審査機関にさえ理解されることが少ないほど性能規定型の設計法は普及していません。確認申請の窓口で受付拒否されるか、あるいは確認機関でフリーパスして構造計算適合性判定に回ってくるという現状の中、このような専門家による事前検証は不可欠だと考えます。
15、各市町村との事前協議
事前協議は、「図面」「補強計画書」を作成後に、耐震化支援室または各市町村の担当部署と行います。補強内容等や補強方法を確認し、より良いものにするための評議を行うことが目的です。
《必要書類》
◆耐震診断結果報告書一式の写し(確認印のあるもの)
◆確認済証の写し
◆確認申請時の図面(無い場合は不要)
◆補強詳細図と補強方法が確認できるもの
◆耐震補強後の建物の耐震診断の判定値が確認できるもの
《確認事項》
◆補強後の判定値が1.0以上であること
◆補強箇所・補強方法が適切であること
◆補助対象範囲と補助金対象経費明細について
16、各市町村へ補助金交付申請
補助金交付申請は、必ず補強工事着工前に行います。規模や補強箇所によって違いがありますが、受理されるまでに2~4週間必要なので注意が必要です。
《必要書類》
◆民間木造住宅耐震改修工事補助金交付申請書
◆図面(配置図、平面図、立面図、補強詳細図)
◆敷地案内図・住宅地図等
◆耐震改修工事費見積書
◆見積書(工事業者などの記名・捺印があるもの)
◆耐震診断結果報告書一式(写)
◆確認済証(写)
◆耐震補強後の建物の耐震診断の判定値が確認できるもの
◆固定資産税・都市計画税の課税明細書(写)※(土地・家屋共)直近のもの
◆納税証明書(原本)※前年度から直近の支払い期日分までのもの等
《申請締切り》申請年度の1月末日です。
※建設時期について・・・確認申請書の着工時期または課税明細書の建築年を記入します。また、着工が昭和56年の場合は、必ず月まで記入することとなっています。修正液での訂正はできません。
17、各市町村から補助金交付決定
申請が受理されるとお客様宅に、「補助金交付決定通知書」が交付されます。
補助金交付決定は必ず工事着工前に必要になりますので、補助金交付申請は2~4週間の余裕を持って行います。
18、工事業者と契約
各市町村との事前協議により修正した図面や見積等のご説明をし、補助金交付申請書に添付した見積書の金額で契約を行います。
この契約書は、次項「着工届け」を提出する際に必要となりますので以下の点にご注意ください。
※契約は必ず交付通知日以降に行うこと。
※交付決定後に金額が変更とならないようにする。
※収入印紙が適切であることを確認する。
※工事方法の変更等で、申請時と異なる見積書となる場合はあらかじめ見積書(原本)や図面等を各市町村の担当部署へ提出し、担当者と打合せた後に契約する。
※工事注文書および工事注文請書の形式で契約する場合は、着工届けの際に両方の写しが必要となる。
19、各市町村へ工事着工届を提出
着工届は交付決定通知のあった日から30日以内に提出します。
《必要書類》
◆着工届
◆施工箇所ごとの着工前写真
◆着工状況の確認できる写真(1箇所)
◆工事契約書
このとき中間検査の日程の調整も行います。
20、補強工事の施工
伝統的な軸組構法(古民家等)はその土地の風土と文化と歴史の中で培われてきたものであり、材料・仕様・技法には地域性があります。
そのような独自性を尊重し、施工方法や仕様を詳細に規定していないため、設計者は木造の一般的な施工法を十分に理解した上で耐震設計を行う必要があります。
また施工では、各耐震要素の役割と特性ごとに目標性能を満たすよう適切な施工を施すことが重要となります。
建物全体の構造特性の把握、特に接合部については、その特性を損なわないことも大切です。また、これらは部材が劣化していないことが前提であるため、耐震改修の場合は劣化が見られる部材を健全な状態に戻すことが前提となります。
21、現場確認
部材のディテールなど、建物の耐震性能に大きく影響するが現地調査時の確認が難しいという事柄があった場合、適切な仮定条件のもとに耐震補強設計をすることになります。
その場合、補強工事の施工段階で改めて確認作業を行いますが、その際 設計条件や補強部材の仕様・数量に変更があれば耐震性能評価を再度行う必要がでてきます。また、現場を取り壊した状況により設計変更や追加工事、工事期間の延長が発生した場合には、なるべく早く各市町村の担当者と打合せをし、変更申請が必要と判断された場合は、すみやかに変更承認申請書を提出します。
各市町村の担当者と打合せをせず補強内容の変更をした場合、工事の一時停止または補助金の取り消しとなる場合があるのでご注意ください。
《必要書類》
◆民間木造住宅耐震改修工事計画変更承認申請書および補強計画図面等(平面図および立面図、補強詳細図)
◆耐震補強後の建物の耐震診断の判定値が確認できるもの
◆見積書(工事業者などの記名・捺印があるもの)
◆耐震改修工事費見積書
22、各市町村による中間検査
中間検査は、原則、工事途中に市役所職員が行います。日程は着工届提出時に調整した日程(平日午後)ですが、必ず設計者が事前に検査をした上で、立ち会う必要があります。
中間検査の箇所は補強箇所を対象としており、筋かい・仕口金物・構造用合板などの補強状況を検査します。
補強材料が見えれば良いという訳ではないので、補強箇所を天井材・床材などで塞がないようにします。
※中間検査を受けなかった場合、補助金が取り消しになる場合もありますのでご注意ください。
23、各市町村へ完了実績報告書および補助金の請求
着工届提出日から4ヶ月以内、工事完了日から30日以内、または2月末日のいずれか早い日までに完了実績報告書の提出、および補助金の請求を行います。
補助金は、完了実績報告書受理日(領収書の写しの受理後)から1ヶ月程度で口座振込にて支払われます。
《必要書類》
◆完了実績報告書
◆工事費請求書または領収書の写し
◆すべての補強箇所の施工前・施工中・完了時の状況がわかる写真(平面図に撮影箇所を記入)
◆補助金の請求書
※補助金交付にあたり、申請者は補助金交付を受けた年度終了後5年間、申請から交付に係わる書類を保存する義務があります。
24、各市町村から補助金受取
工事完了後、各市町村へ完了実績報告書と領収書を提出。受理後、申請者に補助金が支払われます。
■ その他
【一般改修において対象となる耐震改修工事】
耐震診断判定値が0.7~1.0未満の住宅 ⇒ 耐震改修工事後、判定値に0.3以上加算すること
耐震診断判定値が0.7未満の住宅 ⇒ 耐震改修工事後、判定値を1.0以上にすること
【補助率及び限度額】※名古屋市の場合
◆一般世帯
耐震改修工事費の1/2で最大90万円まで補助
◆非課税世帯
耐震改修工事費の3/4で最大135万円まで補助
【完了実績報告書の提出期限】
完了実績報告書の提出期限は、工事着工から4ヶ月以内かつ工事完了日から30日以内です。
(ただし、申請年度の2月末まで)
【その他】
※所得税額の特別控除を受けようとする場合
・住宅耐震改修証明申請書が必要となります。
・段階改修一段目の場合は、申請することができません。
・申請者の条件は、「当該住宅に居住し、その住宅を耐震改修した(耐震改修工事費を払った)者」となっており、条件に合わない場合は申請できません。
※固定資産税額の減額処置を受けようとする場合
・固定資産税減額証明書が必要となります。
・段階改修一段目の場合は、申請することができません。
・市税事務所への減額処置の申告は、工事完了日から3ヶ月以内に行ってください。
(詳細については、担当区の市税事務所へお尋ねください。)
※各市町村により補助金額、適用条件等が若干異なります。補助金をご利用される方は、事前にお住まいの地域の詳細をご確認くださいますようお願いいたします。