八事期の地塊運動
第四紀のはじまりは全世界的な気候変化と一致する。洪積世になると気温が低下し、大陸には広大な氷冠がつくられ、海水準が低下した。東海湖は傾動運動を受けただけでなく、海面低下のために浸食の基準面も下がったので、浸食作用を被ることになった。断層で分断された東海湖の湖底は隆起して台地面となった。
濃尾平野における東海湖以後の洪積層は唐山層にはじまり、ついで八事層、熱田層となっている。唐山層と八事層の地質時代はまだ詳しくわかっていない。しかし海山層は矢田川累層に不整合で接したり、これをおおったりしているので、唐山層は矢田川累層のつくる台地を開析した川の扇状地れき層として堆積したものであろう。唐山層は石英斑岩のえきを主成分としており、しかも、れきの直径は名古屋で40cmに達することもあるはど大きい。
そのほかにはチャート、ホルンフェルス、砂岩、泥岩などのれきが含まれるが、石英斑岩のれきほど大きくはない。チャート以外のれきは著しく風化され、いわゆる”くさりれき”となっている。このため地層は全体として赤かっ色の感じを与え、スコップで削ることができるくらいの強度の部分もある。れき層の厚さは最大約10mであるが、その上に厚さ2mくらいのシルト層ないし砂層がある。上部のシルト層の一部は白い火山灰層になっている。