熱田期の海進と熱田層
八事期をすぎると、名古畳市域をはじめ濃尾平野の大部分は陸地となった。
この時期の海岸ほ少なくとも現在の伊勢湾よりはるか外側まで退いてしまった。いままでの堆積地には新たに河谷がきざまれ、丘陵や台地となっていった。
この時期の海の後退、つまり海面の低下ほ洪積世の終りから2番目の氷期(リス氷期)のできごとであろう。
こうして干上っでしまった伊勢湾や濃尾平野地域に、ふたたび海水が進入してくる。これは、リス氷期の終りとともに、氷河地域の氷がとけ、ふたたび海水量が増え、次第に海面が高まってきたためである。このときの海は、伊勢湾から現在の濃尾平野地域の全域にまで広がった。この湾入した海の底には粘土層を主体とする地層が堆積した。この地層が熱田層下部である。この粘土層の中には、現在の伊勢湾にすむ内湾性の只の化石も含まれており、現在の伊勢湾に近い環境下にあったといえる。
つまり、この時代はリス氷期とつぎにやってくるヴュルム氷期とにはさまれた間氷期で、気候条件も現在のものに近く、かなり暖かかった。この海進のおきた間氷期の時代は
およそ20万年前から10万年ぐらい前までと考えられている。