濃尾平野の地史(17)

第1粘土層は熱田層最上部付近にあり,厚さは2~3m以下で中央部から台地西部にかけて分布している。
これらの粘土層の間には砂層が堆積している。この粘土層と砂層が交互する堆積相の変化がそれぞれ直接海面の変動に結びついていたとは結論づけられないまでも、熱田層上部を堆積した海ほ前進と後退を繰り返したことがうかがわれる。
砂層には浅海または海浜で堆積したと考えられる中~細粒の粒度のよくそろったものから、かなり海岸線が後退したあとに形成された三角州ないしは比較的粗粒の河床性のものまでが含まれている。また砂層中には帯状につながった砂れき層がはさまれている。これは海側に成長する三角州を追ってのびた河川の河床れきと考えられる。この帯状の砂れき層は、その横断面ではレンズ状をなして砂層中にあらわれる。
このような粗粒物が水平的な広がりをもたずに砂層中に帯状をなしてはさまれているのは、比較的急速に堆積が進んだことを示している。また、上部層中の砂層は御嶽火山の放出物である火山岩片の砂粒を多量に含んでいる。これらの火山岩片は風化して容易に粘土化してしまうため、地表付近などで風化した部分はやわらかく、一般に上位の砂になるほど次第にゆるくなる傾向がある。

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