名古屋およびその周辺の地盤災害(2)

愛知県に震害をもたらした地震を震央別に見てみると、愛知県内に震央をもつ地震は、三河地方に多く、地震の最大規模はM(マグニチュード)=7.0、震害はその周辺に限られる。
尾張の震央をもつものは、寛文6年の尾張知多半島における地震と寛文9年の尾張地方における地震のただ二つで、幸いともにあまり震害を生じていない。前者は知多半島に津波をもたらし、また後者によっても、三の丸の石垣が崩れたとあるが、その被害記録が残っておらず、被害は少なかったようである。
しかし、尾張地方が震央の場合のみに限らず、隣接地域の比較的小地震(M=7・0未満)によっても接する部分が被害を被ることもある。伊勢,伊賀,近江,美濃,飛騨において、M=8>〃≧7級の地震が多いが、これらの影響により尾張が多少震害を被っている。
美濃に震央をもつ濃尾地震は、M≧8級のわが国唯一の内陸地震であり、震害は尾張、三河にわたり、濃尾平野部で特に被害が大きかった。外側地震帯ほほとんどM≧8であり、震央は遠いが愛知県に震害をもたらしている。東南海地震などの様相から主として軟弱地盤において著しいものと推定される。
将来の地震は予想できないが、もしその土地の過去の地震歴から耐震設計資料をえるものとすれば、次のようなモデル地震が設定されるであろう。
i)尾張地方の局地地震としてM=6・O
ii)三河地方の局地地震としてM=7・O
iii)外側地震帯にM=8・5
iv)濃尾地震M=8.4はわが国唯一のM≧8級の内陸地震であるから、再び近い将来同規模の地震が美濃地方に発生することはまれであろうが、想定は必要である。
これらの地震は、震害の様相を異にするものである。今、われわれが利用できる資料から、
a)外側地震帯の地震として東南海地震
b)局地地震として三河地震
C)内陸のM=8級の大地震として濃尾地震を取り上げ、それらの震害分布を主として地盤との関係から次に述べる。

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