伝統的建造物群保存地区とは、城下町、宿場町、門前町など、全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存を図ることを目的に選定された地区のことです。現在、文化庁が選定している登録地区は全118ヶ所。「伝健ぶらり旅」では、この中から毎回ひとつの伝建地区をピックアップし、その歴史を辿ります。
第8回目のぶらり旅は、福島県南会津郡下郷町にある伝建地区「下郷町大内宿」です。
この下郷町大内宿は、1981年(昭和56年)4月18日に伝統的建造物群保存地区の指定を受けており、江戸時代の形態を色濃く残す町並みとして、現在も年間約80万人の観光客が訪れる場所となっています。実際に私が訪れたときも多くの観光客で賑わっており、町一丸となって、その伝統や景観の維持に取組む姿勢にとても感心したことを覚えています。
下郷町大内宿が、江戸時代、会津と日光を結ぶ会津西街道の宿場として賑わった宿場町であったことは有名で、会津城下と下野の国(しもつけのくに)(栃木県日光市今市)を結ぶ全長130キロメートル(32里の区間)のうち、会津城下から3番目の宿駅として整備されました。この街道、「会津西街道」というのは関東側からの呼称で、会津側からは「下野街道」あるいは「南山通り」とも称されます。会津藩主の参勤交代と江戸迴米の集散経路として、当時会津藩と友好関係にあった米沢藩・新発田藩なども頻繁に利用した重要路線であり、大内宿の発展はこの街道とともにありました。現在に残る下郷町大内宿の町並みも、この江戸時代に大まかな基盤ができあがっていったようです。